負けない忘れない3.11ここから生まれる未来 びっくり箱 Part.11

2022年3月6日、宝塚ソリオホールで「負けない忘れない3.11ここから生まれる未来 びっくり箱 Part.11」が開催されます!

コロナの感染拡大により、Part.10が中止となり、今回11回目の開催となります。防災をテーマに続いているイベントということですが、どんなイベントなのでしょうか。
実行委員会の皆様にお話を聞きました。

左)(公財)宝塚市文化財団 三戸裕徳さん
中)想造舎 河田均さん
右)人形劇団京芸 石川 幹洋さん

びっくり箱とはどんなイベントですか?

石川さん:

びっくり箱は「負けない忘れない・3.11 ここから生まれる未来」を合言葉に2011年に始まった催しで、舞台芸術に関わる団体と公共ホールと地域が一体となって、親子で舞台芸術などを体験してもらいながら、震災後の現在・未来について、今、自分たちにできることをあらためて考える機会をつくるイベントです。

児童演劇など、子どもに関わる活動をしている団体が参加している全国児童・青少年演劇協議会(全児演)の関西ブロックが、2011年5月に東日本大震災の被災者の支援のためにチャリティー公演を実施したのがきっかけです。

はじめは大阪市内で公演をしていたのですが、2014年から宝塚ソリオホールに会場を移し、宝塚市文化財団をはじめ様々な団体と協力しながら、チャリティー公演に加えて防災啓発活動やまちあそびなども行っています。

昨年11月の「ぼうさい劇場 with びっくり箱(宝塚文化創造館)」では、避難訓練と劇場がコラボしていましたが、どんな取り組みだったのでしょうか?

三戸さん:

始まりは10年前に遡りますが、2012年に「宝塚花のみち自治会」が文化創造館の前にあるさくら橋公園で防災訓練を始められたんです。

ちょうどその時、文化創造館でも地元の方と何かしたいという気持ちがあり、一緒に何かやりませんか?と声をかけて「ハートフル避難訓練コンサート」をはじめました。これは、避難訓練とコンサートを掛け合わせたもので、今となっては全国的に増えていますが、地元と協力して実施するスタイルは兵庫県下では最初の開催だったと思います。

山本のみさご珈琲さんに協力してもらい、皆でバケツリレーをした水を使ってドラム缶で珈琲を焙煎してもらったり、兵庫日産自動車株式会社宝塚北店の協力により災害時の電源として電気自動車を活用する体験をしたりと、コンサートを中心に防災についても色々と体験型のイベントを続けていました。

しかし、2020年に緊急事態宣言が発令され、劇場では公演ができない状況の中、消防や自治会でも防災の活動をしたいけれど人を集められないという事態となりました。これを受けて、皆で何かできないかと企画したのがYouTube動画の「宝塚ぼうさい劇場」です。誰も経験したことのない新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の中でしたが、消防隊員の方に実演とナレーションをしてもらい、劇場を使って訓練動画を6本製作しました。

そして、感染症との闘いが2年目になった昨年は、ちいさな子どもたちに、新しいものを自分で作り出す喜びや楽しさを感じてもらいたいという想いもこめ、2021年11月13日(土)に文化創造館で「ぼうさい劇場 with びっくり箱」を開催しました。

当日は講堂ホールで人形劇や防災紙芝居を公演し、公演中に火事が起こった設定で避難訓練を行いました。併設のさくら橋公演では、宝塚市西消防署をはじめ、宝塚ふぁみりぃ劇場や、宝塚ミライキャンパスなどの団体にも協力していただき、消防体験や防災ゲーム、防災マップづくりも行いました。

自治会の会長さんにもお話しを伺いました。

「ぼうさい劇場 with びっくり箱」で避難訓練を一緒に行った「花のみち自治会」藤野会長に、イベント当日にお話を伺いました。

花のみち自治会会長 藤野 徹氏

花のみち自治会 藤野会長:

ここの自治会は1700世帯ほどありますが、マンションも多い地域なので、こういった形で避難訓練をすることで若い世代や子どもたちにも参加してもらえるようになったのは、とてもありがたいです。これでどこまで訓練になるかという課題もありますが、子どもたちも喜んでくれているので、続けていけたらと思います。

びっくり箱は今年でパート11を迎えられるとのことですが、今回の開催で伝えたいメッセージを教えてください

石川さん:

コロナの感染拡大の中で、びっくり箱も中止を余儀なくされた年がありました。コロナも広義の災害だと考えています。ですので、今後、様々な形の災害にどのように向き合っていくか、というのが今回のテーマです。また、作品を見るだけではなく、観客も一緒に参加して考える「ぼうさいゲキ」が新たな取り組みとして目玉になると期待しています。

三戸さん:

子どもたちとふれあう、子どもたちが体験する機会がすごく減ってしまったので、家族で参加する機会を少しでも作っていきたいというベクトルで、今回実行委員会の皆さんに協力していただけたのは、本当にありがたいなと思っています。

河田さん:

はじめは、被災者の方々を応援したいという気持ちで始まったのが、この10年間で自分たちも被災者になるかもしれない、という気持ちの中で、私たちが子どもたちに何を伝えられるか、というところに変わっていきました。今回このような取り組みで「ぼうさいゲキ」というものができて、社会的に活躍できる場ができたのは非常にありがたいと思います。

これまでの歩みをまとめた冊子を作られるそうですが、どんな内容ですか?

三戸さん:

これまで10年にわたって積み重ねてきたものを振り返るとともに、今後どのように社会に発信するかを考えたいという想いから冊子を作ることにしました。

これまで参加されてきた方々からのメッセージや、活動の詳細、具体的に使える避難の際のアドバイスなどをまとめる予定です。

びっくり箱の今後の展開や、目指すものはどんなものですか?

河田さん:

公演だけでは一過性のもので終わってしまうのでイベントだけで伝えたいことを全て伝えるのは無理ですが、私たちのような存在がある、ということを知ってもらったり、次の世代や他の団体へ、バトンリレーのような感じで想いがつながっていけばいいなと思います。

石川さん:

知らなかった災害を知って、過去に思いをはせ、そしてそれを未来に伝えること、忘れないことが大事だと感じています。びっくり箱に参加することだけで劇的に何かが変わらなくても、隣の人に少しやさしくなれるような、そんな作品や場所を少しずつ作っていけたらいいな、と思っています。

三戸さん:

私は、宝塚生まれ宝塚育ち、小さいころから宝塚で過ごしてきて、宝塚ファミリーランドは遊園地だけでなく博物館の集合体ですし、宝塚まつりや、宝塚歌劇など宝塚で多くの文化芸術に触れてとても楽しいまちだったと感じているんです。今度は思い出をプレゼントする立場になり、子どもたちに宝塚が楽しいまちだと思ってもらえるように、様々なプレイヤーを知ってもらえる機会を増やしていきたいなと思っています。

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イベント名:びっくり箱 Part.11
日時:2022/3/6(日)
場所:ソリオホール
詳細HP:

https://takarazuka-c.jp/topics/t-bikkuribako/entry-1202.html

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