【第2回】 西谷のおかあさん

2018年10月から所有の空店舗にて、毎週水曜日に山里カフェを開いている辻幹子さんを訪ねた。
店舗前の駐車場は満車状態、入口から真っ白な割烹着姿で出迎えてくださった。
そのやわらかい笑顔は私の緊張を和らげた。
店内は宿題をする中学生や囲碁を打つ男性、手芸を楽しむ女性グループとさまざま。
みきさんのわがままランチと書かれたそばには西谷の食材を使った手料理をはじめ、近所の方から提供されたおかずや漬物が並んでいた。
中でも西谷の新鮮な卵を使った卵かけごはんは名物だ。
化学調味料を使わず、かつおや昆布から出汁をとった料理からは身体も心も喜ぶやさしい味がした。
元々、辻さんは西谷地区の民生委員や協力委員をされており、西谷で活動している人たちがつながる場になればと思ったのがカフェの立ち上げのきっかけだそう。
利用する方々からは「欲しかった場所を提供してくれた。」「1日でも長く続けてほしい。」
などの声が届いており、辻さんは「水曜日の夜は感激して、眠れないの。」と話されていた。
カフェのオープン以来、利用者同士の支え合いの輪が広がっている。
辻さんのアイデアは留まることはなく、花壇やピザ窯の製作、BBQスペースの新設を検討していると楽しそうに教えてくださった。
幹子さんという名前から、周囲の人たちから“大きな木の幹”だと言われるそうで、「あなたはどーんと構えていてほしい。」と言われるのだとか。
大きな幹のそばで、ほっと一息つけるような場所だった。
“ないからできない”ではなく、“なくてもないなりに”と店舗内の改装はできるだけお金を
かけず、ご家族の協力で温かみのあるものになっていた。
“お金儲け”ではなく、“お人儲け”ができたらと自然体で接してくださる辻さん、無理のない姿勢が来る人をもリラックスさせるのだと感じた。
来訪者を見送る時は、「また、助けてね!」と言い添えるのだそう。
「助けて」と言いづらい時代だからこそ、助けてと言いやすい雰囲気づくりに努めておられる姿はまさにおかあさんだと思った。
終始笑顔で私たちの質問に答えてくださった辻さんに心から感謝している。

エイジフレンドリーシティメンバー  石丸 友子

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